● 門脈体循環シャント |
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<どのような病気か?> |
正常な犬では、食べ物の栄養と一緒に吸収したアンモニアや細菌の毒素は門脈を通って肝臓に入り解毒されますが、門脈体循環シャントとは、肝臓に流入する門脈と全身を循環する静脈血管とが吻合・短絡(シャント)する血管の異常(奇形)疾患です。
本来ならば、一度、肝臓に流入するはずの血液が肝臓を通らないまま、全身循環に戻るという点がこの疾患の最大のポイントです。
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<門脈とは?> |
門脈は胃、膵臓、消化管、および脾臓からの血液が集まり、肝臓へ流入する血管です。門脈の血液には肝臓で代謝される栄養素が多く含まれると同時に、肝臓で解毒されるはずの腸管内毒素も含まれます。
そのため、この血管が全身を循環する静脈と吻合していると、栄養が十分に行き届かなくなり、全身に毒素も循環してしまうことになります。この毒素が中枢神経系へ運ばれると、門脈体循環シャントに特有な肝性脳症と呼ばれる神経症状を呈します。また、門脈血には肝臓を発育させる因子も含まれているため、流入減少により小肝症と呼ばれる小さな肝臓になります。 |
<好発犬種と症状> |
日本では、ヨークシャー・テリア、トイ・プードル、マルチーズ、シー・ズー、ミニチュア・ダックスフントなどの小型犬に多いと報告されています。
症状としては、無症状の場合から食欲不振、発育不良、嘔吐、尿結石、重度になると眠ってばかりいる、食後しばらくすると激しく唾液をたらしたり、ケイレンを起こしたりします。 |
<特徴> |
門脈体循環シャントには先天的なものと後天的なものに分類されます。また、異常血管の場所により、肝内型、肝外型に分類します。小型犬では肝外型の確率が高く、総合的には肝外シャントが70 %を占めます。肝内シャントは出世後に閉鎖するはずの胎児期の静脈管が閉鎖せずにそのまま存在したものです。
後天的なものとしては、重度肝疾患の末期において、致命的な門脈高血圧を緩和させるための生体反応としてのバイパス血管を形成したものがありますが、形成された多発性シャント(異常血管が複数本ある)は外科的治療ができません。 |

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<診断> |
臨床症状に加え、血液検査、レントゲン検査、尿検査などからこの病気を疑います。確定診断は開腹下での門脈造影検査によります。
写真は、正常な門脈造影と、門脈体循環シャントの門脈造影です。正常では、白く写る造影剤が肝臓全体に拡がっているのに対して、門脈体循環シャントでは、矢印で示すように、異常血管を短絡して肝臓に流入せず心臓に流れ込むのがわかります。
このようにして異常血管(シャント血管)を見つけだす方法が従来からの方法であり、引き続き治療に移行できるので現在でも主流になっています。 |
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| ● 正常な門脈造影 |
● シャント血管での門脈造影 |
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<CTスキャンによる門脈造影> |
このように、門脈造影検査には開腹手術が必要なので、事前の諸検査が非常に重要になるわけですが、この疾患は病期の初期や門脈の形状によっては症状が非常に軽度あるいは無症状という患者さんも存在します。
そのような場合、いきなり開腹するというのは患者さんの負担を考えると非常にリスキーですが、CT スキャンであれば、メスを入れることなく短時間の麻酔だけで門脈異常の検出が可能です。
また、異常血管の場所は患者さんごとで異なる場合が多く、開腹してから探査する必要性があります。しかしながら、事前に CT スキャンで異常血管の場所を把握できることで、手術時間の大幅な短縮につながるものと考えられます。
CT スキャンのメリット
- 開腹することなく、異常血管を見つけられる。
- 開腹前に異常血管の場所がわかるため、手術適応の可否が明確になり、手術時間の短縮に寄与する。
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<治療> |
| 内科的治療と外科的治療に大別されますが、この疾患は、シャントしている異常血管が原因ですから、このシャントを止めない限り病気は治りません。つまり、手術しか治す方法がないのです。内科的管理は手術までのつなぎの治療、あるいは手術に適応できない場合のみと考えて下さい。 |
| ○ 内科療法 |
| 肝性脳症の管理が中心となります。ただし、薬と食事により良好な管理ができたとしても時間と共に肝臓の病態は悪化し、肝線維症から肝硬変に至ります。 |
| 食事療法 |
肝性脳症の原因の一つであるアンモニア産生をできるだけ抑制するために、蛋白制限食を与えます。これに加えて、ラクツロースという二糖類を与えます。これはアンモニア産生と吸収の抑制の目的で使用します。 |
| 抗生物質 |
腸内細菌による毒素産生をコントロールするために使用します。
腸管内毒素は通常は肝臓で解毒されますが、門脈体循環シャントの場合、この毒素が解毒されず体内を循環し、脳に達して肝性脳症を起こしてしまうからです。 |
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| ○ 外科療法 |
手術は門脈体循環シャントの根治療法です。腸管膜静脈あるいは脾臓の静脈に細いカテーテルを留置します。このカテーテルを観血的血圧計に接続し、門脈圧の測定を行います。
その後、このカテーテルより造影剤を注入し、レントゲン撮影を行います。この門脈造影によりシャント血管の存在と位置を確認します。肝臓内のシャントの場合は、血管を探し出すのが困難で、手術不可能な場合もありますが、様々な方法が検討されています。 |
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| ● 腸間膜静脈からの造影 |
| 肝臓外シャントの場合は、シャント血管を見つけ出し縫合糸により結紮します。シャント血管を結紮することで門脈圧が上昇しますが、15 mmHg を超えないようにしなければなりません。ですから完全に結紮できない場合もあります。このようなケースでは、部分的に結紮して、数ヶ月後に再手術を行い完全結紮します。 |
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| ● 門脈圧測定 |
ゆっくりと血管を締めていくアメロイドコンストリクターという物を使用する方法もありますが、急速に閉まり門脈高血圧が生じることもあり、その使用方法に関しては論議を呼んでいます。
最後に、肝臓の病理検査のために組織を少し採取し、閉腹します。手術後は、様々な問題が起こりますので、24 時間は注意深い観察が必用になります。非常に大きな手術ですが、乗り切ることでその後の状態が改善されるわけです。 |
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| ● アメロイド・コンストリクター |
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経過が長く肝臓のダメージが大きい場合は、当初、手術可能であったものでも手術ができなくなってしまいます。また、手術できたとしても、肝硬変などを併発し健康な肝臓の量が減っているため、術後経過で大きく違いが生じるものと思われます。
門脈体循環シャントでは早期発見、早期治療が大切です。上記症状があてはまるようであれば一度、精密検査をおすすめします。 |
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| ● 元気になったよぞらちゃん&ルウちゃん |
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