角膜潰瘍修復に角膜移植を行なった症例


小山 博美1) 迫矢博誠1) 松村征爾1) 横山由紀子1) 渡利真也1) 進学之1) 森下正隆1) 藤井善信1) 湯貫敏1) 川田睦1) 細井戸大成1)
*1)ネオ・ベッツVRセンター

【はじめに】
角膜潰瘍による角膜欠損は、小さなものは直接縫合可能であるが、ある程度大きなものは直接縫合することはできない。その場合結膜移植などを行なうが、房水の漏出などが起こる危険性がある。また、強度を維持するために、角膜実質の補充のためには角膜そのものを移植することが望ましい。そこで今回、角膜潰瘍修復に保存角膜移植を行なったのでここで報告する。

【材料】
角膜は眼疾患を持っていない若い動物から提供されたものを使用した。ドナー死亡後、速やかに角膜を摘出し生理食塩水で洗浄した後、オフロキサシン点眼薬に浸漬して凍結保存した。使用直前に角膜を融解し、必要な大きさにトリミングした後、9-0バイクリルにて単純結節縫合にてレシーピエントの角膜に縫合した。

【症例】
(1)マルチーズ、メス、15歳。2日前から右眼に潰瘍があり、抗生剤と消炎剤にて治療していたが、1日前から出血があったとのことで来院された。角膜のびまん性浮腫、角膜全体の1/3の融解性潰瘍、前房出血が認められた。内科的に3日間治療を行なったのち角膜移植+結膜弁移植を行なった。術後は順調に経過した。
(2)シー・ズー、オス、11歳。10日間角膜潰瘍が継続し、瞬膜弁形成術を行なわれていた。1週間後に瞬膜弁をはずしたが、角膜潰瘍は悪化しすでに穿孔が見られた。そのため角膜移植と結膜弁形成術を行なった。術後結膜弁は退縮したが、移植した角膜は生着し良好に経過している。

【考察】
今回、保存角膜移植による拒絶反応や脱落は認められなかった。保存角膜は新鮮角膜を移植する場合と異なり角膜の透明性が失われるが、角膜強度を維持するためには十分であった。角膜の入手・保存など今後検討する課題は多いが、ドナーの問題が解決されれば十分臨床現場で使用可能であると考えられる。
ウィンドウを閉じる